労働生産性を向上させる方法とは?計算式から6つのステップを解説
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- 労働生産性とは人・時間あたりの成果を可視化する指標
- 労働生産性の向上が人的資本経営で重視される理由
- 労働生産性の向上によって得られるメリット
- 労働力不足を解消できる
- コストを削減できる
- 企業の競争力を高められる
- 労働生産性の計算方法と評価方法
- 計算式と算出例
- 評価方法
- 労働生産性を向上させる取り組み・施策
- 無駄な業務を削減する
- 業務の標準化に取り組む
- 人員配置を適正化する
- ITツールやAIなどを活用し業務を効率化する
- ノンコア業務は外部にアウトソーシングする
- 従業員エンゲージメントを向上させる
- 労働生産性向上の取り組みに対する支援策・助成金
- 労働生産性を向上させて組織を持続的に成長させよう
働き方改革が進む中で、人手不足やコスト上昇などの影響もあり、労働生産性に課題を抱えている企業が増えているのではないでしょうか。
持続可能な成長を実現するためには、労働生産性を客観的な数値で定義し、戦略的に改善していくアプローチが欠かせません。
本記事では、労働生産性の向上によるメリットや向上させる方法、労働生産性の計算方法などについて詳しく解説します。
収益性と社員の活力を両立させる強い組織へと変革するための実践的なヒントとして、ぜひご活用ください。
労働生産性とは人・時間あたりの成果を可視化する指標
労働生産性とは、人・時間あたりの成果を可視化した指標です。
この指標は、成果の定義によって、大きく2種類に分けられます。
ひとつは、製品の個数や重量など量を成果とする「物的労働生産性」です。主に製造や物流現場で、作業の純粋な効率を測る際に用いられます。
もうひとつは、生み出した付加価値(粗利益、もしくは営業利益・人件費・減価償却費などを含めた社内定義の付加価値)を成果とする「付加価値労働生産性」です。
こちらはサービス業や事務部門などで、どれだけ効率的に利益を生み出したかという価値を測る指標として、人的資本経営において重視されています。
これらを使い分けると、現場の作業効率と企業の収益性の双方を正しく評価できます。
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労働生産性の向上が人的資本経営で重視される理由
労働生産性は、人への投資を企業価値へつなげる「人的資本経営」において、成果を捉えるうえで重要な指標のひとつです。
人的資本経営では、エンゲージメントや離職率、スキル開発など多様な指標を用いて組織状態を把握しますが、それらはあくまで先行指標になりやすく、事業成果とのつながりが見えにくいことがあります。
その点、労働生産性は「限られた労働投入(人・時間)で、どれだけの付加価値を生み出せたか」を表すため、施策が事業の価値創出にどう影響したかを検証しやすい指標です。
人材育成、配置最適化、業務改善、IT活用といった取り組みを数値で比較・改善する基準として機能するため、人的資本経営の意思決定を支える軸になっています。
労働生産性の向上によって得られるメリット
労働生産性の向上は、単なる時短に留まらず、以下のようなメリットをもたらします。
労働力不足を解消できる
コストを削減できる
企業の競争力を高められる
生産性の向上は、人材不足や収益性の停滞といった経営課題を根本から解決し、市場での競争優位を確立するための武器となります。
労働力不足を解消できる
労働生産性を高めることは、人を増やせない状況でも、今いるメンバーで無理なく成果を出せる体制の構築につながります。
たとえば、入力や集計などの定型作業はITツールや自動化で処理し、人にしかできない判断や顧客対応に時間を割けるようにすれば、同じ人員でも生み出せる成果を増やせます。
採用が容易ではない状況だからこそ、「効率化すべき仕事」と「注力すべき仕事」を明確にすると、本来価値を生み出す業務に集中しやすくなります。
コストを削減できる
労働生産性を高めることは、残業代や外注費といった変動費の抑制につながり、結果としてコスト削減を実現しやすくなります。
たとえば、入力・転記・集計などの定型業務を自動化し、手戻りを減らせれば、同じ成果をより少ない工数で達成できます。コストの削減によって、残業の発生や応援要員の追加、突発的な外注依頼といったコストも抑えられるでしょう。
また、業務の標準化やツール導入によって作業品質が安定すると、ミス修正やクレーム対応などの隠れたコストも減少します。
企業の競争力を高められる
労働生産性が向上すると、限られた人員でも高付加価値な仕事に時間を投下できるようになり、企業の競争力が高まりやすくなります。
具体的には、顧客課題の深掘り、商品・サービス改善、営業提案の高度化、育成・採用の強化など、将来の成長に直結する活動へリソースを振り向けられます。
さらに、同じコスト構造でも生み出せる価値が増えるため、価格競争に巻き込まれにくくなり、利益を確保しながら投資を継続できるのもメリットです。
労働生産性の計算方法と評価方法
労働生産性の向上に取り組む際、まず大切になるのが感覚だけに頼らず、数字を通じて現状を正しく知ることです。
ここでは、労働生産性の計算方法を確認したうえで、その数値をどのように評価し、現場の取り組みにつなげていくかを解説します。
計算式と算出例
労働生産性は、代表的には次の考え方で算出します。
労働生産性 =付加価値(または売上) ÷ 労働投入(従業員数または総労働時間)
たとえば、年間の付加価値額が5,000万円、総労働時間が1万時間の場合、労働生産性は次のように計算できます。
5,000万円 ÷ 1万時間 = 1時間あたり5,000円
このように、まずは自社の労働生産性を計算することで、現在、時間や従業員単位での労働生産性を客観的に確認できます。
評価方法
労働生産性を評価する際は、まず算出した数値が目標や過去の実績と比べてどう変化しているかを確認します。
そのうえで、会議時間や手戻り件数などのプロセス指標も併せて確認し、数値の背景にある要因を把握します。
数値が目標に届いていなくても、会議の削減や手戻りの減少などプロセスの改善を進め、継続的な実践・検証・改善を繰り返しましょう。
労働生産性を向上させる取り組み・施策
労働生産性を向上するためには、やみくもに頑張るのではなく、効果の出やすい順序で取り組むことが大切です。
具体的には、以下の6つの施策を優先順位に沿って実行することが、着実な成果への近道となります。
無駄な業務を削減する
業務の標準化に取り組む
人員配置を適正化する
ITツールやAIなどを活用し業務を効率化する
ノンコア業務は外部にアウトソーシングする
従業員エンゲージメントを向上させる
無駄な業務を削減する
労働生産性が低い場合には、無駄な業務がリソースを圧迫している場合があるため、削減できる業務を洗い出してなくしていくことが大切です。
たとえば、会議時間を一律30分に制限する、ファイル名の命名ルールを統一して検索時間を減らすといった小さなルールの積み重ねが、大きな時間の創出につながります。
ただし、必要なコミュニケーションまで削ると認識のズレによるミスを招くため、あくまで価値を生まない作業を狙い撃ちにする視点が大切です。
業務の標準化に取り組む
特定のベテランだけが業務を把握している状態は、休職や退職のたびに生産性が落ちる大きなリスクです。
チェックリストやマニュアルによって業務を標準化すれば、誰でも一定の品質とスピードで遂行可能になり、教育や引き継ぎの効率も向上します。
ただし、柔軟性を損なわないよう、変化の激しい業務では例外ルールの設定もセットで行うのが運用のポイントです。
人員配置を適正化する
それぞれの強みが発揮される配置にすることで、生産性を高めやすくなります。
なぜなら、得意分野に合った役割を担うことで、業務のスピードや品質が上がり、ムダな手戻りや負荷の偏りを防ぎやすくなるからです。
適正な人員配置を行うためには、スキルや経験だけでなく、業務への志向性や得意・不得意を棚卸しし、定期的に業務内容とのマッチ度を見直しましょう。
ITツールやAIなどを活用し業務を効率化する
ITツールやAIを活用すると、限られた時間の中でより多くの成果を生み出しやすくなります。人が行っていた作業を効率化・自動化することで、本来注力すべき業務に時間をかけやすくなるためです。
大規模なシステム導入を急ぐのではなく、まずは生成AIに資料の要約を任せたり、専用ソフトで定型的な入力作業を自動化したりと、身近な業務からムダの削減に取り組みましょう。
こうした取り組みによって実際にどれだけ時間が削減できたかを確認しながら、少しずつ対象業務やツールの範囲を広げると、リスクを抑えつつ労働生産性の向上につなげられます。
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ノンコア業務は外部にアウトソーシングする
業務をアウトソーシングする際は、まず自社の業務を洗い出し、どの作業が定型的で外部に任せやすいかを見極めることが大切です。
定型業務を外部に委託することで、社内の企画・開発・営業などのコア業務に注力でき、生産性の向上も期待できます。
ただし、担当範囲や品質基準を曖昧にしたまま任せてしまうと、手戻りやコミュニケーションコストが増え、かえって非効率になるおそれがあります。外注範囲や作業内容を明確にしたうえで、ノンコア業務をアウトソーシングしましょう。
従業員エンゲージメントを向上させる
労働生産性を高めるには、業務プロセスの見直しに加えて、従業員エンゲージメントも重要です。
従業員エンゲージメントとは、会社や仕事に対する愛着や信頼があり、「ここで貢献したい」と思えている状態を指します。
この状態が高まると、前向きな行動や自主的な工夫が生まれやすくなり、一人ひとりのパフォーマンスが上がる結果、組織全体の労働生産性向上につながります。
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労働生産性向上の取り組みに対する支援策・助成金
労働生産性の向上に取り組む際には、以下のように設備投資や業務改善、人材育成などにかかる費用を一部支援してくれる公的な制度を活用できます。
制度名 | 概要 | 活用イメージ |
|---|---|---|
デジタル化・AI導入補助金 | 業務効率化やDXなどに向けた ITツールの導入を支援する補助金 | ・勤怠管理システムの導入 |
事業場内最低賃金を引き上げ、設備投資などを行った場合に支給される助成金 | ・生産性を高めるための設備導入 | |
革新的なサービスの開発や、試作品・生産プロセスの改善を支援する制度 | ・製造工程の自動化設備の導入 |
申請には期限があり、複雑な書類作成が必要な場合もあるため、まずは商工会議所や専門家へ相談し、自社で活用可能な制度を特定することからはじめましょう。
労働生産性を向上させて組織を持続的に成長させよう
労働生産性の向上は、人手不足や長時間労働に悩む組織にとって、現状を打破するために効果的な経営戦略です。
労働生産性は、「付加価値額(または売上高) ÷ 従業員数(または総労働時間)」で計算できます。現在の労働生産性を把握したうえで、無駄な業務の削減や業務の標準化などの取り組みを行うことで向上を期待できます。
取り組みにはコストがかかる場合もありますが、助成金も賢く活用しながら、利益と社員の幸せが両立する労働生産性の高い組織を目指して、まずは身近な業務の棚卸しからはじめてみましょう。







