人材配置とは?最適化のポイントや手順、注意点などを解説
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- 人材配置とは
- 人材配置の種類
- 適材適所
- 適所適材
- 人材配置のタイミング
- 人材配置の最適化による効果
- 業務効率の向上
- 組織全体の活性化
- コストの削減
- 早期退職の防止
- 従業員のストレス軽減
- 人材配置の最適化に失敗した場合のデメリット・注意点
- 勘に頼ると適材適所を実現できない
- 従業員の希望を軽視すると不満が生じてしまう
- 最適化に時間やコストがかかる
- 売上や業績への影響は中長期的に見込む必要がある
- 人材配置を最適化するための手順
- 1.現状の人員構成を可視化する
- 2.従業員のスキルや適性を把握する
- 3.キャリアプランを面談で確認する
- 4.配置後の効果測定と改善を行う
- 人材配置を最適化するためのポイント
- 配置図/組織図を作成する
- 経営戦略と配置方針を連動させる
- 人材配置で影響を受ける関係者へのフォローを丁寧にする
- システムを用いてデータを活用する
- 人材配置を最適化するため「HRBrain タレントマネジメント」を活用しよう
人材配置とは、経営目標を達成するために、従業員のスキルや適性を考慮し、最適な部署や役割に割り当てる人材マネジメントのことです 。一部の社員に業務が集中したり、異動がモチベーション低下を招いたりすると、利益の最大化はできません。
本記事では、人材配置の種類や適したタイミングなど、最適化のポイントを解説します。「最適化するとどのような効果を感じられるのか」「失敗するとどうなるのか」もお伝えします。
人材配置の最適化だけでなく、人事評価や人材育成などにも役立つシステムも紹介するので、戦略的な人材マネジメントにお役立てください。
人材配置とは
人材配置とは従業員のスキルや適性・キャリアなどを踏まえて、適材適所に異動/配置する人事マネジメント方法を指します。組織の活性化/成長・業務効率化、人材育成/能力開発が目的です。
人材配置の種類として、「採用・昇格・降格・解雇」などヒトの再分配に関わるマネジメント全般を指します。
人材資源は限られるため、最適な配置をすることで社員のパフォーマンスやモチベーションを高め、持続的に組織を成長させることが大切です。
人材配置の種類
人材配置には、以下の2つの考え方があります。
適材適所
適所適材
どちらも社員と組織の成長に大切な戦略であり、状況にあわせて適切な人材配置をすることが大切です。最適な人材配置をするため、上記2つの考え方について確認していきましょう。
適材適所
適材適所は、社員の強みやスキル、経験が最大限に活かせる業務・ポジションに配置することです。組織の生産性と定着率を飛躍的に高めるアプローチといえます。
適材適所のメリットは、採用や研修コストの削減、即戦力の確保といった効果が期待できる点です。例えば、営業力に優れた社員を営業部門の中核に配置することで、本人が自分の得意分野で成果を出せる環境づくりができます。
また、本人の適性にあった役割を任せると、モチベーションの向上や、離職のリスクの低減にもつながるでしょう。
適所適材
適所適材とは、まず企業の経営戦略上重要なポジションを定義し、その役割を遂行するために最適な人材を配置する考え方です。
例えば、「3年後に海外事業部を立ち上げる」という戦略目標を立て、現時点では未経験でも、ポテンシャルのある若手社員を候補者として抜擢し、育成するケースが該当します。組織の未来から逆算する適所適材は、経営戦略と人材戦略を直接結びつけやすい方法といえます。
人材配置のタイミング
人材配置の主なタイミングを、以下の表にまとめました。
タイミング | 説明ポイント |
|---|---|
採用 | ・定期の新卒採用、臨時の中途採用によって新たな人材を迎え入れる |
人事異動 | ・各部署の業務効率化やマンネリ化を防止する |
昇進・昇格 | ・スキルアップした従業員により責任ある役割を与える |
雇用形態変更 | ・正社員、契約社員、パートなど雇用形態の変更によって行う |
解雇 | ・経営目標未達や予算問題により、人員削減によるコストカットを行う |
人材配置のタイミングを誤ると、採用コストの上昇・従業員のモチベーション低下・公正性への疑念につながるリスクが高まります。そのため、上記のタイミングを参考に、適切に人材配置をしましょう。
人材配置の最適化による効果
人材配置を最適化すると、以下の効果を感じられます。
業務効率の向上
組織全体の活性化
コストの削減
早期退職の防止
従業員のストレス軽減
上記の効果を理解すると、より適切に人材配置をするために取り組めます。そこで人材配置の効果について、確認していきましょう。
業務効率の向上
人材配置の最適化により、業務を効率良く回せるため生産性の向上が期待できます。
一方、業務と人材のバランスが崩壊する明らかな経験/スキル不足やミスマッチによる配置は、業務の流れを低下させ人間関係の軋轢を引き起こすリスクがあります。
生産性が向上すれば、非効率な作業によるストレス軽減やメンタルヘルス対策としても有効です。
組織全体の活性化
人材配置の適正化は、従業員が最も活躍できる働き方や場所が提供されるため組織全体に活気をもたらします。
もし生産性が低下している部署/チームがあれば、ヒアリングのもと人材配置を打診しましょう。「今の人材配置はベストな状態か?」と、常に最適な人材配置を意識すればマンネリ化や属人化を防ぎ、組織全体の若返り効果も期待できます。
人材配置の前後には関連部署へのフォローアップを行い、定期的な見直しが望ましいでしょう。
コストの削減
人材配置の最適化は、人件費や経費などのコスト削減に繋 つながります。なぜなら最適な人材配置は従業員満足度も高くなるため、定着率が上がります。人材が退職せず定着し組織に貢献すれば、従業員にかける人件費や経費を費用対効果面で回収しやすいでしょう。
例えば、従業員1名の採用費用が100万円であり給与が月給35万円だとします。
入社後3カ月で退職すれば、採用費用100万円+給与3ヶ月分×35万円なので合計で205万円分の費用が発生します。新入社員研修やデスクやパソコンなどの備品、入社手続きにかけた分の人件費や、退職した従業員分の人員補充を考慮するとさらに金額は大きくなるでしょう。
最適な人材配置は早期退職を防止し、人件費ロスや業務効率によるコスト削減に繋 つながります。
▼「早期離職」についてさらに詳しく
早期退職の防止
社員の能力やキャリア志向に寄り添った人材配置は、エンゲージメントを高め、早期離職の防止につながります。離職の一因である「仕事内容とのミスマッチ」や「キャリアの将来性への不安」は、人材配置によって解消できるからです。
新入社員が配属された後、3ヶ月・半年といったタイミングで面談をして、不満があるようなら人材配置の実施を検討しましょう。社員本人の能力が活かせる仕事や、成長を実感できる挑戦的な役割を与え、「この会社で働き続けたい」と前向きになってもらえると、早期退職を防止できます。
従業員のストレス軽減
適切な人材配置は、能力や適性に合わない業務、あるいは過度な業務負荷といったストレスを解消し、働きやすい職場環境へと改善可能です。
例えば、業務量を見直し余裕を持たせる配置変更が、残業の平準化やメンタルヘルス不調の予防につながる可能性があります。このように人材配置の最適化によって、組織全体の安定運営や離職率低減などの効果が期待できます。
人材配置の最適化に失敗した場合のデメリット・注意点
人材配置で失敗するデメリットは、以下のとおりです。
勘に頼ると適材適所を実現できない
従業員の希望を軽視すると不満が生じる
最適化に時間やコストがかかる
売上や業績への影響は中長期的に見込む必要がある
人材配置の最適化には多くのメリットがある一方、失敗すると逆効果になるおそれがあります。適切な人材配置を実現するため、上記のデメリットを理解していきましょう。
勘に頼ると適材適所を実現できない
主観や勘だけで人材配置を決めると、隠れた強みや適性を見落とし、適材適所を実現できません。例えば、「快活だから営業向きだ」と配置された社員が、実は緻密なデータ分析を得意としており、顧客対応にストレスを感じる可能性があります。
主観的判断を減らすためには、適性検査やスキルマップなど客観的なデータを重視し、対話を組み合わせて総合的に判断することが大切です。
従業員の希望を軽視すると不満が生じてしまう
従業員の希望を無視した人材配置は、不満の高まりやモチベーションの低下などの離職リスクを高めます。会社にとって合理的な配置でも、本人のキャリアや意向への配慮がなければ「大切にされていない」と感じるおそれがあるからです。
配置決定前には、1on1などで丁寧な対話を重ね、本人の考えや希望をヒアリングし、納得感を醸成することが大切です。
最適化に時間やコストがかかる
人材配置の最適化を図る場合、システムの導入や仕組みの構築などの初期投資や運用コストが生じます。
例えば、システムの導入には初期費用や月額利用料が発生します。また全社員のスキルマップを作成・更新するためには、人事担当者や管理職の工数確保が必要です。
そのため、最初から完璧を目指さず、少しずつはじめるとよいでしょう。具体的には、まずExcelで簡易的なスキルマップを試作する、対象部署を限定して運用するなどです。できることから取り組み、効果を検証しながら段階的に規模を拡大すると、挫折しづらくなります。
売上や業績への影響は中長期的に見込む必要がある
配置転換後は、適応期間や育成の時間が必要なため、人材配置の最適化は、中長期的な投資と捉えることが大切です。特に将来のリーダー育成を目的とした抜擢人事の場合、短期的には部署の生産性が低下する可能性があります。そのため、短期的な成果のみを追求すると、貴重な育成の機会を逃しかねません。
人材配置によるプラスの効果は、数ヶ月から数年単位の時間がかかると理解しておきましょう。
人材配置を最適化するための手順
人材配置の手順は、以下のとおりです。
- 現状の人員構成を可視化する
- 従業員のスキルや適性を把握する
- キャリアプランを面談で確認する
- 配置後の効果測定と改善を行う
適切な手順で人材配置をすると、従業員・企業の双方に良い影響が生じるため、上記の手順を把握していきましょう。
1.現状の人員構成を可視化する
人員構成の可視化は、人材配置の最適化に向けた土台づくりです。部署ごとの人数や年齢、役職などを一覧化した組織図や人員構成をまとめた資料を作れば、組織の課題や偏りを把握できます。
まずはExcelなどで簡易的な組織図やリストを作成し、データ分析から次の一手を見極めましょう。
2.従業員のスキルや適性を把握する
人材配置の最適化には、個別のスキルや適性を把握することが大切です。そのため、スキルマップを作り、「誰が・何を・どのレベルでできるか」を整理しましょう。
例えば、マーケティング部でスキルマップを作った結果、SNS運用のスキルをもつ人材が多く、データ分析スキルをもつ人材が1名のみの場合、その社員の負担を軽減するための人材配置ができます。
スキルアップで組織にあるスキルや人員構成を俯瞰し、適材適所の人員配置に活用しましょう。
▼スキル管理についてさらに詳しく
3.キャリアプランを面談で確認する
客観的なスキルとあわせて、本人が目指すキャリアを把握すると、人材配置後の納得感やモチベーション向上を期待できます。キャリアプランの確認は、定期的な面談や1on1ミーティングでヒアリングしましょう。
対話を通じて納得感を醸成するプロセスは、社員の不満解消のほか、予想外の才能の発見にもつながる可能性があります。
▼キャリアプランについてさらに詳しく
4.配置後の効果測定と改善を行う
人材配置後はPDCAサイクルが必要です。定期的に従業員の状況や実績を確認し、効果が薄ければ人材の再配置を検討します。実績を確認しやすい目標設定では1カ月・6カ月・1年と区切り、進捗状況をヒアリングしましょう。
ただし、ヒアリングやフォローアップの担当者は上司1名だけではなく、部署の責任者や人事担当者など多角的な視点で確認します。評価の偏りや属人化を防ぎ、幅広い観点から従業員を公正に評価できるでしょう。
従業員の状況を確認する方法として、従業員に簡単なアンケート形式で答えてもらうパルスサーベイを実施する企業が増えています。
パルスサーベイについて、基本や導入方法について詳しく知りたい方は「パルスサーベイとは?意味や目的と質問項目を解説」をご確認ください。
人材配置を最適化するためのポイント
人材配置の効果をより高めるためのポイントは、以下のとおりです。
配置図/組織図を作成する
経営戦略と配置方針を連動させる
人材配置で影響を受ける関係者へのフォローを丁寧にする
システムを用いてデータを活用する
効率良く人材配置をして最大の効果を得るため、上記のポイントを確認していきましょう。
配置図/組織図を作成する
配置図や組織図を活用し、組織の全体像を把握します。本社・各地点の営業所・部門/部署と細部に至るまで、担当業務の内容と役割や権限・求めるスキル/経験、資格や人物像を洗い出しましょう。
組織全体の役割を客観的に見た上で人材配置を決めれば、従業員の納得感も高まります。
▼「組織図」についてさらに詳しく
経営戦略と配置方針を連動させる
人材配置は経営戦略を実現するための手段であるため、どの経営課題・目標達成にどう貢献するかを考えて配置を決めましょう。例えば、経営戦略としてDX推進による生産性向上を掲げた場合、ITスキルの高い若手を各部署に配置し、キーパーソンとして育成する、といったアプローチが可能です。
そのためには、事業計画を策定する際、「この計画を実行するために、どのようなスキルを持った人が何人必要で、誰がその人たちをまとめるのか」という人材面の検討を、事業目標と一緒に話し合うことが大切です。
▼戦略人事の立案方法についてさらに詳しく
人材配置で影響を受ける関係者へのフォローを丁寧にする
一人の異動は本人の不安だけでなく、受け入れ先の人間関係の再構築や、送り出した側の業務負荷の増大など、組織にさまざまな影響を与えます。
そのため、人材配置で影響を受ける関係者へのフォローを丁寧にしましょう。例えば、異動対象者にメンターをつけ、受け入れ部署には円滑なオンボーディングを支援し、元の部署には一時的なサポートを手配するなどです。
コミュニケーションとケアの徹底が、業務負荷の偏りや不信感を防ぎ、人材配置の成功につながります。
システムを用いてデータを活用する
人材配置の適正化のためには、目標と評価制度の明確化が必要です。従業員のデータを効率的に管理する方法に人事管理システムを導入する企業が増えてきています。
紙やExcel・スプレットシートでの管理だと、最新情報を共有できない・個人情報の取り扱いが不安・容量が重く開きづらいなど、従業員の数が多いほど、管理が難しいためです。
HRBrainの人材管理システムなら、目標・評価管理のプロセスを「効率化」「見える化」できます。組織図の作成が簡単にできるため、最適な人材配置ができるでしょう。さらにヒアリング/面談時の内容や目標管理・マネジメント業務をクラウドで一元的に管理できるため、人事業務の効率化が期待できます。
▼タレントマネジメントについてさらに詳しく
人材配置を最適化するため「HRBrain タレントマネジメント」を活用しよう

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